
体力も精神力もかなり使う保育士の仕事。それゆえに体調を崩したり、ケガをしてしまったりして長期のお休みを余儀なくされることもあり得ます。
その際退職するのではなく、休んだ後も職場に復帰できる「休職制度」が使える保育園も多いです。今回は保育士が休職する理由で多いものと休職制度を使う際の注意点、またそれに伴う「傷病手当金」についても解説していきます。
保育士の休職理由で多いものは?
それではまず、保育士の休職理由で多いものを見ていきましょう。
精神面の問題が多い
具体的な統計は見つけられませんでしたが、ネットやSNS上の情報、そして私自身が見てきたこと経験してきたことから「精神的な理由で保育士が休職する」ということが一番多いと考えられます。
私自身も精神的な理由による退職を何度も経験しています。
保育士は精神的な負担が大きい仕事です。人間関係、いじめ、多忙すぎる業務、子どもの安全の確保、そもそもの業界全体の考え方など、精神的な負担から体調を崩す人が少なくありません。
これらの理由から保育士が休職する場合も多いです。
保育士の人間関係やいじめのリアルな実態については以下の記事もご参考になさってください。


大けがや病気
業務中や業務外でケガをしてしまい、仕事を休まなくてはならなくなってしまう、あるいは入院を伴うような大きな病気になってしまったという場合もあります。
このような理由で保育士が休職する場合もあります。実際私もこれらの例を見たことがあります。
ただやはり、精神的な理由での保育士の休職の方が多かったです。
いずれにせよ休職制度を利用するには「理由」が必要であり、医師の診断が必要な場合が多いです。法的には診断書は必須ではないないということですが、基本的には体調を崩したりケガをしたりして、医師に診断してもらった上での休職という流れになると考えてよいでしょう。
保育士が休職する際の注意点
続いて保育士が休職する際の注意点について解説していきます。
無給になる場合が多い

保育士が休職をする際、給料が出ない「無給」の状態になる場合が多いです。中にはしばらくの間は給与を補償してくれる保育園もあるようですが、基本的には無給であり、そのため「先に有給休暇を消化する」というケースも多いです。
給料が支払われない状態で生活は大変になる場合がありますが、そのために傷病手当金が支給されるケースもあります。
傷病手当金は職場で加入している健康保険組合から支給されるもので、一定の条件を満たしている必要性がありますが、休職中の収入がない状態を助けるものとなります。
しかしこの傷病手当金を受け取る場合にも注意点があります。その辺りについては後述します。
園によって様々な休職のルールがある
休職制度というものは法律で定められた義務ではありません。そのため保育士が休職する際には各保育園で定められた休職のルールに従う必要があります。
例えば「勤続○年以上で休職制度が使える」「休職できる期間は○か月まで」などのルールが設定されている場合が多いです。そのため「休職制度の対象外で使えなかった」「そもそも職場に休職制度がなかった」といったこともあり得ます。
休職制度の対象外の場合、休みが欠勤扱いとされるため、懲戒解雇などにつながる場合もあり注意が必要です。
なかなか元気なうちに休職について職場に確認する人はいないでしょうが、体調が継続的に悪い、休職を考えているなどといった場合は勤めている保育園に休職のルールについて確認する必要があります。
休職することを悪いことと考える職員が一定数存在する
保育士が休職する場合、それぞれ理由があって「好き好んで休職する」という人はいませんよね。ほとんどの場合「やむを得ず休職」となるはずです。ですが「本人もつらい休職」でも、中には「休職する保育士が悪い」といったような考え方をし、復職後更に人間関係で苦しめるという保育士が残念ながら存在します。
私が保育士時代にいじめを受け休職した際、復職後これが一番きつかったです。私の場合は復職後にらまれる、監視される、冷たい態度を取られるといった経験があり、すぐに再度の休職になってしまいました。
休職することで体調は整うかも知れませんが、復職したら職場の人間関係が改善されていたというケースはほとんどありません。多くの場合は「復職したら元の保育園に戻るだけ」です。私の場合職員数の少ない保育園だったので、なおさらつらかったです。特にメンタルの不調で休職した場合「保育士の休職は悪」といった考えの保育士に再度メンタルをやられる可能性も高いのです。
保育士のメンタルについての話はこちらでも詳しく書いています。

傷病手当金を受給する際の注意点
このように保育士が休職することにはリスクも伴います。可能であれば休職などしたくないのですが、どうしても休まざるを得なくなった際に金銭的な助けになるのが「傷病手当金」です。
ただし傷病手当金を受け取る際にも注意点があります。最後にその点を解説していきます。
支給期間が決められている
傷病手当金には支給される期間が決められています。最長で1年6か月です。それ以上の休職期間の場合、1年6か月を超えてからは支給されなくなります。
病気やケガが長引く場合には注意が必要です。
また再発した場合などは様々なルールが存在しますが、前回の支給期間と合わせて通算で1年6か月限りの場合もあります。
このあたりについては加入している健康保険組合の窓口に確認する必要があります。「絶対に2回目以降は支給されない」とは限らないので、必ず確認してみましょう。
支給額は給料より低い
傷病手当金は給料の3分の2程度の額が支給されます。月々の給料より額が下がるということも注意点です。
また健康保険については多くの場合給料から天引きされますが、休職期間中は無給なので、別に健康保険料を払う必要があります。
保育士が休職をする場合、「夫婦で共働き」「親と暮らしている」「貯金がある」「別で働けなくなった時のための保険に入っている」などがないと一気に生活が苦しくなってしまう可能性もあるのです。
障害年金を受け取ることになった際にも注意点がある

保育士が休職をして症状がなかなか良くならなかった場合、障害年金を受給することになる場合もあるでしょう。傷病手当をもらっていた場合、その障害年金を受け取る際にも注意が必要になります。
障害年金にも色々なルールがありますが、その中で「5年前の障害までさかのぼって受け取れる場合がある」いわゆる遡及と呼ばれるものがあります。遡及が通った場合「傷病手当を受給した期間の分を返さなくてはいけない」というルールがあります。傷病手当金と障害年金は同時に受け取ることができないというルールがあるためです。
そのため、障害年金を無事受け取ることができても「思わぬ額を返さなくてはいけなくなった」となる場合があります。障害年金の遡及が通っても一気に使ってしまうのではなく、このようなルールもあることを頭に入れておき大事に使いましょう。
まとめ
今回は保育士の休職理由で多いもの、休職する際の注意点と、傷病手当金を受け取る際の注意点を解説してきました。ケガや病気、メンタルの不調はいつ誰にでも起こりうることです。「休む人が悪い」と考えるのではなく、そういう時こそ保育園のチームワークが試されると言えるかも知れませんね。
また休職期間中の経済的な助けになる傷病手当金ですが、注意点もあるため気をつけましょう。何より保育士一人ひとりが元気に仕事ができることが一番ですね。体調に気を付けることが一番の対策とも言えるでしょう。
それでは、今回もお読みくださりありがとうございました!

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