保育士が一斉退職する理由は?根本的な原因を考察する

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全国でニュースになっている保育士の一斉退職。ニュースになっているのはほんの氷山の一角だという指摘もあります。今保育園で何が起こっているのでしょうか。

今回は保育士が一斉退職する理由と、その根本的な原因について考えていきます。

保育士が一斉退職する理由

それでは早速、保育士が一斉退職する理由を見ていきましょう。

パワハラなどがある

まずは上司などによるパワハラがある保育園が、保育士の一斉退職する理由になっています。私自身、保育園でいじめられた経験がありますが、パワハラ体質の保育園では被害者となる保育士が多数出てしまうということになり、その結果一斉退職につながるのではないかと考えられます。

保育士の退職理由の毎回上位にランクインする「人間関係」ですが、上司がパワハラをするような保育園では、その人間関係はかなり劣悪になってしまっているでしょう。

人手不足による保育上の安全確保への不安

続いて人手不足も保育士が一斉退職をする理由として挙げられます。保育士不足の園では何とか人材を確保しようとしたり、派遣保育士を雇ったりという動きが見られますが、根本的な解決になってはいません。

また中には保育士の数的基準を満たすため、勤怠表を改ざんするというとんでもない保育園も存在するようです。

人手が足りないということは子どもたちの安全確保のための保育士が足りないということです。その不安から保育士の仕事が激務になり一斉退職へつながります。また激務には耐えられても、子どもを事故に巻き込んでしまうことやその責任を問われることには耐えられないということで仕方なく一斉退職するということもあるようです。

いずれにせよ、保育士不足が更なる保育士不足を招くという負の連鎖になってしまっている保育園もあるようです。安全に保育ができない保育園で、まともに働こうというのは無理があります。

現場の要望が受け入れられていない

現場と運営側で温度差があることも、保育士が一斉退職する理由になっています。前述の保育士不足を例に挙げるなら、現場側から「保育士が足りていないので保育士を増やしてほしい」と要望を出しても全く聞き入れず、むしろ姉妹園を増やすことにばかり力を入れているという運営者もいるようです。

このように全く現場を見ず、保育士の要望を却下する運営者の存在も保育士が一斉退職する理由になっています。

風通しの悪い現場

保育の現場が風通しの悪いことも保育士が一斉退職する理由に挙げられます。それこそ「いじめがある」「パワハラがある」「仕事量が多すぎる」「人間関係が劣悪」などの事情を抱えていても、外から見た人はおろか、預けている保護者ですらそれらの事情に気付かないということは珍しくありません。

一見問題のない保育園に見えても、中は問題が山積していることはよくある話です。この「一見問題ない」ということが保育士を苦しめているのです。そうでなければそもそも保育士不足が業界全体でうたわれることはないでしょう。

保育士の一斉退職 根本的な原因は?

それでは保育士の一斉退職の根本的原因はどこにあるのでしょうか。

保育士という存在の立場が弱すぎる

まずは保育士の立場が、職場はもちろん社会的にも弱いということが挙げられます。保育士の地位がもう少し高ければ、運営側や上司に物申すこともできるでしょうし、それにより意見を尊重され、もう少し働きやすい現場が作られていくはずです。それができていないのが現状です。

社会的立場はどうでしょうか。これは給料の安さが物語っているのではないでしょうか。また未だに存在するクレーマーのような保護者の存在も保育士の立場の弱さを作っています。

しかし社会的立場は少しずつ変わりつつある様子も見られます。例えば保育園で事故が起こった際、保育士を責めないような意見が増えてきているように感じます。一生懸命やっている保育士は救われるべきですし、それでも事故を完全に防ぐことはできません。

今後保育士の立場がより向上していかないと、保育士の一斉退職は減っていかないかも知れません。

保育士を駒としか思っていない運営者や園長がいる

これは前述の保育士の立場の話にも通じますが、保育士のことを将棋の駒程度にしか思っていない運営者や園長も存在します。

私の経験談になりますが、新卒で契約職員として入職した保育園で、常勤を目指していましたが2年間契約として働いたあと突然「契約満了」を告げられたことがありました。その理由は「これ以上契約から常勤に登用する前例を作りたくない」というわけのわからないものでした。納得のいかないもので裁判も考えましたが、まだ若かった私は泣き寝入りするしかなかったという経験があります。

保育士は目の前の子どもたちのために、思い入れを持って日々保育をしている人がほとんどです。それを将棋の駒程度に切り捨て、次の都合の良い職員を入れ・・・という歴史のツケが今まさに回ってきているのではないでしょうか。

保育園ばかりを増やし、保育士が増えていない現状

行政や運営会社が「少子化対策」という盾の下、ひたすら保育園ばかりを増やしそれに保育士の人数や保育の質が追い付いていない現状があります。

「少子化対策」「子育て支援」響きはいいですが、ただ保育園の数を増やしてもそれに伴う質を提供できていないのでは、きちんとした目的が達成されているとは言えません。

そこに相応な報酬、保育士が働きやすい環境、これらは全て後回しになっています。それにより保育士不足が慢性的になっていると言うことができます。

一人で苦しんでいる保育士も多数いる

これだけ保育士の一斉退職が話題になるということは、一人でいじめやパワハラなどに苦しんでいる保育士はもっとたくさんいるということでもあります。

こちらは一斉退職と根本的には同じ原因ですが、問題が深いのは「保育士の一斉退職が起きる園より、多くの園に存在している」ということです。

一人で悩んでいるので、辞めるのは一人かも知れませんが、抱えている問題の原因が同じであるということはいずれ保育士の一斉退職が起こっても不思議はないということです。

保育士の退職についてはこちらの記事でもまとめています。

保育士辞めたいと思ったら 状況別に退職方法を考える
保育士を辞めたいと思った際、どうやって退職していけばよいかという問題に直面します。そこで今回は健康な状態だけど保育士を辞めたいのか、それとも既に体調やメンタルに影響が出ているあるいは出そうな場合なのか、それぞれどのように退職していけばよいかを考えていきます。

保育士の一斉退職は悪なのか?

ここまで保育士が一斉退職する理由と根本的な原因について考えてきました。さて、保育士が一斉退職をすることは悪いことなのでしょうか。

保育の世界を変えるキッカケになる可能性がある

保育士が一斉退職をすることで、悪いのは保育士ではありません。そういう状況を作ってきた者です。この状況は確かに子どもを預ける保護者からすれば不安でしかないでしょうが、これだけ各地で一斉退職が起きているともう運営側や行政は待ったなしで「状況を変える」ことに着手するしかないのではないでしょうか。

この「一斉退職」という形でも保育士が動き出した流れを私自身は支持します。保育の世界を変えるキッカケになる可能性があると思うからです。今すぐにでも保育士を取り囲む状況を変えないと、更に一斉退職の流れは進んでいくと思います。それは本当の意味での「子育て支援」が遅れていくということになります。

立場の弱い保育士はどうすればいい?

「保育士みんなで声を上げ、保育の世界の改善に向かう」という流れが始まりつつありますが、いち弱い保育士さんや、現状一人で悩んでいる保育士さんからすれば「何をどうすればよいかわからない」ということもあるでしょう。

とりあえず「今の保育園で働き続けたい」とか「自分自身は現状に満足している」という方もいらっしゃるかと思います。その場合は「とにかく自分を大切にして保育と向き合う」ということが大切です。必ずしも全員が行動できるわけではないですからね。

保育士の現状はメンタルが大切です。保育士のメンタルについては以下の記事でもまとめています。

保育士はメンタルやられるとアウト?その理由と予防方法を考える
精神的にきついと言われる保育士の仕事。人間関係など、保育士のメンタルがやられる要因はたくさんあります。保育士のメンタルがやられると、復活の道のりはかなり厳しいものになってしまいます。今回はその理由と、メンタルがやられないための予防法を考えていきます。

また最後に宣伝になりますが、私自身「弱小保育士の会」というオンラインサロンを立ち上げています。今は本当に弱小中の弱小ですが、まずは立場の弱い保育士さん同士の横のつながり、そして悩み共有、いずれは保育の世界を良くできる会にしたいと思っています。

オンラインサロン / コミュニティ運営なら YOOR「ユア」
YOORは、オンラインサロン専用トークルームを完備した、コミュニティやファンクラブ、オンラインレッスンの場として利用できるプラットフォームです。

まとめ

今回は保育士が一斉退職する理由とその根本的な原因について考えてきました。現場ではひたすら大変な思いをしている立場の弱い保育士が、動き出したということは今後保育の世界が変わらなければならないということの表れでもあります。

当分はこの流れが続くかもしれません。しかしずっと続くことは誰も幸せになることではないのです。今すぐにでも、対策を講じ保育士の待遇や環境を良くしていく時ではないでしょうか。

それでは今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

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